【アレルギー】食物アレルギーの症状を抑える分子を発見 東京大学
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すごいですね、東京大学。
実験段階で、実用はこれからですが、2015年7月10日、オンライン限定の学際的ジャーナルであるNature Communicationsにて、食物アレルギーを発症させたマウスを用いて、アレルギー反応を抑える物質を発見したという発表を行いました。
アレルギーはアレルギーの原因物質(アレルゲン)に反応した免疫細胞の一種類であるマスト細胞が、ヒスタミンなどの物質を放出して、周囲に炎症を引き起こすということが、今までの研究でわかっていました。
しかし、そのアレルギー反応の原因となるマスト細胞が腸で増加することが、食物アレルギーの発症や進行に関与することまでもなんとなくわかっていた様ですが、どのようにしてマスト細胞が増加するのかという仕組みまではわからなかったそうです。
今回の発表の研究結果によると、プロスタグランジンD2(PGD2)という物質がマスト細胞の増加を抑えることで食物アレルギーの悪化を抑える働きをもつということがわかったようです。
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食物アレルギーは根本的な治療方法がありませんが、「本発見は食物アレルギーの根本的な治療方法の開発につながる可能性があります。」とのことです。
さて、PGD2とは一般の人には聞き及びの無い物質ですが、人の脳に主に存在する物質で、脳を包んでいるくも膜にある酵素が作っているそうです。また、睡眠誘発物質ということがわかり、1991年にBBRC(Biochemical and Biophysical Research Communications)という雑誌に発表されたのがきっかけで世に効果が知られたそうです(京都大学 こころの未来研究センター資料 睡眠の謎に挑む 早石 修)。
それ以後、多くの研究機関で研究がされてきています。最近ですと、2014年12月25日に大阪市立大学からの発表で、PGDを作る酵素(PGD合成酵素、L-PGDS。PGD2の他にTXA2・PGI2・ PGE2・PGF2αを作ります)はがん抑制物質として動物実験ですが治療効果のあるということがわかったそうです。また、文部科学省科学研究費助成を受け、小野薬品工業との共同研究で胃がん治療薬を開発しているそうです。
東京大学の発表では、食物アレルギーへの治療方法の可能性についてはまだまだこれからの様でしたが、他にも東京医科歯科大学がPGD2合成酵素などを標的とした炎症性皮膚疾患の治療の開発を試みていたりと、アレルギーの研究は多くの研究機関で行っています。
多くの研究結果を結集して、食物アレルギーやセリアック病などに効果がある治療方法が早く実現して欲しいですね。
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